フィリピン人が何語を話すかご存知ですか。
フィリピン国内では、ルソン島やミンダナオ島、セブ島を含む7,000以上の島々からなる地域において、170を超える言語があります。
中でも、タガログ語、セブアノ語、イロカノ語、ヒリガイノン(イロンゴ)語、ビコール(ビコラノ)語、ワライ語、カパンパンガン語、ボホラノ語は、フィリピン諸語の8大言語と呼ばれています。
現在の公用語はフィリピン語(国語)と英語です。
フィリピンの公用語
フィリピン語
フィリピン語(フィリピノ)は1987年のフィリピン憲法で定められた公用語の一つです。
現在では、フィリピン語は国語としてフィリピン全土で教育されています。
フィリピンでは170を超える言語が話されており、相互間の意思疎通の為の言語がなかったため、マニラ首都圏を中心にブラカン州からバタンガス州などのルソン島中南部一帯で話されていたタガログ語を基本にした言語を憲法で国語に定めピリピノ語と称し、のちにフィリピノ語(フィピリン語)と改称して教育機関の言語として使用されています。
英語
1900年代前半から、フィリピンはアメリカの植民地として統治され、アメリカは公用語を英語にすることも含めてフィリピンでの英語教育に力を入れました。
フィリピン国内に多くのアメリカ人教師を送り込み、フィリピン人たちに英語を教えました。結果、フィリピンは戦後アメリカから独立するまでの間に英語の基礎を確立し、英語を話す人が非常に増えていきました。
アメリカから独立後は世界で英語の普及が始まり、英語の重要性が高まったため、今でも小学校から大学まで公式的な言語として採用され、タガログ語の授業を除くすべての授業で使われています。フィリピンでも世界で通用する国づくりを目指して継続して英語教育に力を入れ、現在では多くのフィリピン人が海外で働いています。
フィリピンで使用される母語が多い
各地域で使われている母語は170以上あると言われており、その中でも100万人以上が話す言語だけでも10以上あります。
主な地方言語は、マニラを中心に話されているタガログ語、セブを中心にビサヤ地方で話されているセブアノ語、ルソン島北部のイロコス地方で話されているイロカノ語、ネグロス島の西側やパナイ島で話されているイロンゴ語、ルソン島ビコール地方のビコラノ語、レイテ島やサマール島で話されているワライワライ語、ルソン地方のパンガシナン語、パンパンガ語など。
日本でいう方言という感覚どころではなく、文法や単語が違ってくる全く別言語のものもあります。また、地域によっては言語の呼び方も違ってくるのでとても複雑です。
セブ島で使用される言語
セブ島ではタガログ語は日常的に使用されておらず、ビサヤ語を使用します。ビサヤ語以外にはセブアノ語が使われています。(セブアノ語はビサヤ語をもう少しスラング化した言語です。)
ビサヤ諸島(セブ島、ネグロス島南部、ボホール島、シキホル島、ミンダナオ島など)で幅広く使われている言語を、ビサヤ語と呼びます。
タガログ語とは文法が似ていたり共通の単語は存在しますが、文章の大事な動詞がほとんど違うので、日本でいう方言どころか完全に別言語となります。
その他
ネグロス島西部やMK EDUCATIONのあるパナイ島では教育やビジネスの現場では英語が使われていますが、イロンゴ語(ヒリガイノン語)が母語です。その他、タガログ語や、キナライア語なども話されます。
イロンゴ語はオーストロネシア語族の一種であり、フィリピン内外で700万人が母語としており、他に意思疎通がある程度可能な話者がおよそ400万人います。
なぜフィリピン語が生まれたのか
7,000以上の島々から成り立っているフィリピンには各地域の特色、多民族、異文化、異宗教などにより多くの言語が生まれました。
各地域で使われている母語は170以上にもおよび、同じ国内でありながら意思疎通が不可能なほどの違いがそれぞれにありました。
この先国が発展していくためには統一言語・共通言語が必要だとの認識が広がり、
1937年には大統領令第134号によりタガログ語が正式に国語の基礎言語に制定。
1959年、教育省令7号により国語の名称が「ピリピノ語」に改称。
1987年、新しい憲法が制定。国語の名称がピリピノ語から「フィリピノ語」に変更されました。
また、同時に英語とフィリピノ語が公用語となりました。
フィリピンは世界第3位の英語公用国
フィリピンでは英語が広く共通語として使われており、アメリカ・イギリスに次いで世界で3番目に英語を話す人口が多い国です。
英語は多言語をまとめる共通語として小学校から大学まで公式的な言語として採用され、タガログ語の授業を除くすべての授業で使われています。
しかし、貧しくて教育を受けられない方々も沢山います。公共施設及び観光施設、レストランやショッピングモール、旅行会社や銀行などでは従業員もお客さんもとても流暢な英語を話しますが、教会、ジプニー、市場などでは簡単な英語しか通じません。
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まとめ
フィリピンの言語はスペインやアメリカなど、さまざまな影響を受けて変化してきました。植民地であった過去や、多言語国家が抱える悩みを解決する手段として、英語やフィリピン語は使用されています。
今では、フィリピン人同士の会話を聞いていると、タガログ語で話していても、英語が聞こえてくることがしばしばあります。このように、タガログ語と英語を混ぜながら話されるタグリッシュという言葉も生み出されました。
英語だけではなく、簡単なフィリピン語で現地の方とコミュニケーションを取るのも良い経験かもしれません。