フィリピンでは、カトリック、プロテスタント合わせて国民の約90%以上がキリスト教徒で、アジアでは唯一のキリスト教国となります。
アジアの国でありながら国教がキリスト教となっている背景には、過去に長期間スペインにより植民地支配された歴史があります。
イスラム教徒の割合は5%〜10%で、特にミンダナオ島の南部に多くのイスラム教徒が暮らしています。その他、仏教や無宗教が少数です。
フィリピンはキリスト教国家
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- カトリック
- 人口の約83%と最も大きな割合を占める宗派です。
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- プロテスタント
- 人口の約10%前後で、アメリカによる植民地時代に広まった宗派です。
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- イグレシア・ニ・クリスト
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フィリピンが発祥となるキリスト教の一派で、タガログ語で「キリスト教会」を意味します。
他宗教徒との結婚やフィエスタ(お祭り)への参加を禁止するなど厳格なルールを持っており、クリスマスを祝う事もしません。
植民地時代の影響が大きい
現地人はもともとアニミズムを奉じていたが、イスラム商人の影響でフィリピンにイスラム教が広まりました。
その後、16世紀の中頃に始まったスペインによる植民地時代にキリスト教へ改宗され、約330年にわたるスペインの当時時代に、キリスト教が広く浸透していきました。
一方でキリスト教への改宗に抵抗した者がミンダナオ島に移り、今でもミンダナオ島にはフィリピンの他の地域よりも多くのイスラム教徒が暮らしています。
フィリピンの休日に影響を与えている
フィリピンの祝日は、一般祝祭日と特別祝祭日があります。
国民の90%以上がキリスト教徒であり、キリスト教に関係する休日が多く、中でもクリスマスはフィリピン最大の祭日です。
国を挙げての一大イベントで、9月になるとショッピングモールではクリスマスまでのカウントダウンが始まり、ツリーガ飾られ、クリスマスソングが流れ始め、『世界で一番クリスマスが長い国』と言われます。
3月~4月にはイエス・キリストの復活を祝うイースターと、その前の木~土曜日が休日になるホーリーウィークがあり、学校や仕事、多くのお店が休みとなります。日程は春分後の最初の満月の次の日曜日を基準に決められるため毎年変動します。
このようにフィリピンでは祝日が変動したり、年度中でも突然、祝日が新たに設定されることもあります。
また、地方ごとに定められている祝日・休日があります。
フィリピン人の暮らしにも影響を与えている
フィリピンのキリスト教徒には熱心な信者が多く、毎週日曜日には多くのキリスト教徒が教会でのミサに参加します。
街中には多くの教会がありますが、ショッピングモールの中でミサを開催していることもあります。
地方のショッピングモールでは定期的にお祈りのメッセージが流れ、スタッフや買い物客が足を止めて数分間お祈りする姿が見受けられます。
学校では、キリスト教について学ぶ授業が行われたり、授業開始時や食事の前にお祈りするケースもあります。
また、カトリックの教えに基づき、フィリピンでは離婚、避妊、人工中絶などが禁止されており、中でも離婚や人工中絶は法的にも認められていません。
信仰されているその他の宗教
スペインの植民地時代より前には、フィリピンの隣国であるインドネシアなどにもイスラム教が入り込んでおり、その影響でフィリピンにもイスラム教が広まりました。
現在はミンダナオ島の南部に多くのイスラム教徒が暮らしています。
また、断食(ラマダン)を終えたことを盛大に祝うイスラム教最大のお祭り『ラマダン明け祝日』があります。日にちは毎年変わり、直前に決まることが多いです。
フィリピンに行った際に絶対にしてはいけないこと
キリスト教に限らずどの宗教においても言えることですが、宗教や彼らの信仰を否定するような意見を言わないようにしましょう。
例えば、フィリピンではカトリックの教えに基づき、避妊や人工中絶が禁止されています。子沢山な家庭が多いのもそういった背景があります。
宗教上の文化の違いに驚かれることもあるかもしれませんが、さまざまな文化を受け入れることも必要です。
また、人前で叱りつけたり怒鳴ることはタブーです。
日本人でも人前で叱られるのは嫌ですが、フィリピン人は特に嫌がります。喧嘩に発展してしまい危害を加えられたり、根に持たれて恨みを買われてしまうなどのトラブルになる可能性があるので気を付けましょう。
>>フィリピンに留学した際にも注意すべき点がたくさんあるので、留学を考えている方はこちらの記事を参考にしてください。
まとめ
フィリピンの宗教は90%以上がキリスト教徒であり、そのうち約80%はカトリック教徒です。
アジアの国でありながらキリスト教となっている背景には、過去に長期間スペインにより植民地支配された歴史があります。フィリピンとして独立している現在でも変わりません。
キリスト教がフィリピンの文化や習慣に大きく影響を与えていて、祝祭日にもその影響が多く表れています。
距離的に近いフィリピンと日本でもたくさん違う文化がありますので、現地の宗教文化に気を配るようにするとよいでしょう。